次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜

次期社長の執着愛。 〜御曹司だと知らずに逃げた苦労人女子なのに、社長になって、全力情愛で追いかけてくる。〜

last updateآخر تحديث : 2026-03-25
بواسطة:  伊桜らなمستمر
لغة: Japanese
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主人公の聖菜(せな)は、高校の頃からアルコール中毒の父を養っている苦労人。現在は、村岡貿易がやっていた五年働けば奨学金は返さなくてもいい企業奨学金制度を利用して大学に行っていたので現在も村岡貿易の総務部管理課にて広報業務を担当している。そして、同期で同じ総務課の船舶管理課・課長の沼瀬(ぬませ)と付き合っていたのだが……。

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الفصل الأول

1、普通の幸せ(1)

บรรยากาศในงานเลี้ยงประจำปีของคฤหาสน์เบลลินี อบอวลไปด้วยกลิ่นซิการ์และน้ำหอมราคาแพง

มีอาชูมือข้างที่สวมแหวนตราขึ้นมา หมุนตัวอวดคนในตระกูลกลุ่มเล็กๆ ที่รุมล้อมเธออยู่

เสียงอุทานอย่างเสแสร้งดังขึ้นรอบตัวเธอ ตามมาด้วยสายตาดูแคลนนับไม่ถ้วนที่คอยชำเลืองมองมาที่ฉันซึ่งนั่งอยู่ตรงมุมห้อง

ลูก้านั่งอยู่ที่หัวโต๊ะยาว สายตาของเขาเหลือบมองเสี้ยวหน้าของฉันจากอีกฝั่งของฝูงชนด้วยท่าทางเฉยเมยและไม่ยี่หระ

หลังจากดื่มด่ำกับคำเยินยอจนพอใจ มีอาก็เดินนวยนาดถือแก้วไวน์ตรงมาหาฉัน

สายตาของเธอจ้องเขม็งไปที่กำไลทับทิมบนข้อมือของฉัน มันมีชื่อว่า "Cuore Eterno" หรือหัวใจนิรันดร์

เมื่อสามปีก่อน ในวันครบรอบของเรา ลูก้ายอมจ่ายเงินมหาศาลเพื่อซื้อมันมาจากการประมูลใต้ดินเพื่อเอาใจฉัน

มีอาหัวเราะเบาๆ อย่างจีบปากจีบคอแล้วโน้มตัวมากระซิบข้างหูฉัน "เอลารา ในเมื่อเธอคืนแหวนให้แล้ว ไม่คิดบ้างเหรอว่ามันดูไร้มารยาทไปหน่อยที่จะยังกอดสมบัติของดอนน่าไว้แบบนี้?"

เธอยื่นมือทำท่าจะมาจับกำไล ฉันจึงก้าวถอยหลังครึ่งก้าว

เหตุการณ์สำคัญของค่ำคืนนี้กำลังจะเริ่มขึ้น ตามธรรมเนียมของตระกูล ถึงเวลาที่ ดอนน่าจะต้องเป็นผู้จุดเทียนศักดิ์สิทธิ์

แต่มีอากลับยื่นมือไปคว้ามันก่อน น้ำเสียงเธอนุ่มนวลและประจบประแจง "ลูก้า บอกว่าคืนนี้ให้ฉันเป็นคนจุดค่ะ"

ก่อนที่ฉันจะทันได้ทำอะไร เธอคว้าเชิงเทียนเงินโบราณซึ่งเป็นสมบัติที่ตกทอดมาถึงสี่รุ่น แล้วจงใจบิดข้อมือปล่อยมันหลุดมือ

เสียง 'เคร้ง' ดังสนั่น เชิงเทียนกระแทกพื้นหินอ่อน ฐานโลหะหนักอึ้งกลิ้งไปบนพรม ส่วนแก้วครอบแตกละเอียดในทันที

น้ำตาเทียนร้อนๆ กระเด็นเต็มพื้น เธอรีบกุมข้อมือตัวเองไว้ทันที ดวงตาเริ่มแดงก่ำและมีน้ำตาคลอเบ้า

"เอลารา ฉันก็แค่แค่อยากจะช่วย ถ้าเธอไม่อยากให้ฉันทำก็น่าจะบอกกันดีๆ ทำไมต้องผลักฉันด้วย..."

เสียงเพลงแจ๊สจากเครื่องเล่นแผ่นเสียงหยุดกึกลงทันที

ทุกสายตาในโถงกว้างหันมาจับจ้องที่พวกเรา

ตลอดเจ็ดปีที่ผ่านมา ผู้หญิงคนไหนก็ตามที่บังอาจเข้าใกล้ลูก้า หรือท้าทายฉัน จะต้องถูกอัปเปหิออกไปจากคฤหาสน์หลังนี้

เมื่อก่อนฉันมักจะรู้สึกไม่มั่นคงจนถ้ามีผู้หญิงคนอื่นแค่ชายตามองลูก้า ฉันจะซุกตัวในอ้อมกอดเขาแล้วร้องไห้จนกว่าเขาจะสัญญว่าจะส่งผู้หญิงคนนั้นไปให้พ้นหน้า

แต่ครั้งนี้มันไม่เหมือนเดิม

ลูก้าก้าวยาวๆ ตรงเข้ามา แล้วใช้ลำแขนแกร่งดึงมีอาไปไว้ข้างหลัง

สายตาของเขาเหลือบไปเห็นรอยถลอกจางๆ บนผิวขาวผ่องของมีอา คิ้วหนาของเขาก็ขมวดมุ่นทันที

"นี่เธอจะเล่นบทเหยื่ออีกแล้วเหรอ เอลารา? มีอาเพิ่งมาอยู่ที่นี่ เธอจำเป็นต้องทำให้เขาขายหน้าต่อหน้าพวกผู้อาวุโสด้วยหรือไง?"

ความลำเอียงของเขาชัดเจนเสียจนไม่ต้องสงสัย น้ำเสียงของเขาเต็มไปด้วยการตำหนิ

ฉันมองใบหน้าที่ฉันเคยรักสุดหัวใจ แล้วความเจ็บปวดแปลบก็แล่นผ่านเข้ามา

ฉันสูดหายใจลึก พยายามสะกดกลั้นน้ำตาที่เอ่อล้น

ฉันไม่ได้เอ่ยคำแก้ตัวแม้แต่คำเดียว และไม่ได้คว้าแขนเสื้อเขาเพื่ออธิบายเหมือนที่เคยทำ

ฉันเพียงแต่เงยหน้าขึ้น แล้วแกะขอเกี่ยว "Cuore Eterno" ออกจากข้อมืออย่างเย็นชา

ท่ามกลางสายตาที่ตกตะลึงของทุกคน ฉันยื่นกำไลนั้นส่งให้มีอา

"ถ้าชอบก็เอาไปเถอะ ฉันขอโทษที พอดีฉันก้าวพลาดเลยทำให้เธอตกใจ"

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1、普通の幸せ(1)
「おはようございます」 朝八時に会社に入った私は出勤の打刻をして、総務部管理課と書かれているオフィスに入り挨拶をしてデスクに座る。 「おはようございます、木ノ下先輩」 「おはよう、|岡《おか》さん」 私、|木ノ下《きのした》|聖菜《せな》は貿易会社としては大手である村岡貿易株式会社にて働いている。今はもう六年目だ。 村岡貿易株式会社は創業百周年を迎えた歴史のある会社で、貿易会社としては有名だ。外航・内航海運事業から始め、今では外航・内航海運事業の他にも物流事業や旅客船事業、地域活性化推進事業がある。 そして部署は本社にあるのは船舶管理部門、船舶営業部門、管理部門で、海上職の乗船業務がある。私は管理部門である総務部管理課の広報業務を担当している。ホームページや会社パンフレットの社外に発信していくツールの制作や社内報を制作するのが仕事だ。そして、グループ会社の商品をSNSにて配信することにも少しだけ関わっている。 隣に座るのは岡さんといって三つ下の後輩だ。私が初めて教育係をした子で、今でも仲良くしているし頼りになるので助かっている。 「木ノ下さん、運航部から連絡がありました。提案されていた候補の中の寄港日で撮影大丈夫だそうです」 「ありがとう、岡さん。じゃあ、撮影部に連絡取らないと」 「撮影部には昨日連絡してあります。撮影チーフの大和さんはいつでも大丈夫だそうです」 「え、ありがとう。助かる〜じゃあ、連絡してみるよ」 岡さんは昨日アポ取りした内容をメモにまとめてくれていたからそれを見て、スケジュール確認を再度してから撮影部の内線で電話を掛けた。 撮影部と運航部のスケジュールを確認して撮影日が決定して両方に確認メールを送信し終わった時にはもうお昼のチャイムが鳴った。 お昼になりパソコンを閉じ、スマホをカバンから取り出して見る。するとタイミングよく彼からメッセージの通知が来ていた。 【いつもの喫茶店で待ってる】 メッセージアプリを開いてトーク画面を見て内容を確認すると、私は子犬のゆるキャラがグッサインをして【了解】と言っているスタンプを送った。 「先輩、今日は彼氏さんとですかー?」 「うん。出張から帰ってきたみたいだから」 「そうなんですね〜いいですねぇ、確か、営業の方ですよね! 私、入社した時に先輩たち見て美男美
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1.普通の幸せ(2)
 就業時間の十八時半になり、オフィスから「お疲れ様でした〜」と言う声がたくさん聞こえている中私は就業時間ギリギリに回ってきた社内報の校了前の文字校正作業を赤ペンを走らせながらやっていた。 「先輩、私上がりますけど大丈夫ですか?」 「あっ、うん。岡さん、大丈夫だよ。お疲れ様」 「じゃあ、お先に上がりますね。お疲れ様でした」 岡さんが帰って行くと今度は「聖菜」と呼ぶ桜志くんの声が聞こえてきた。 「……っ、お、桜志くん!」 「お疲れ、頑張ってるね」 「あ、うん。後少しで終わるから先に行ってて、待たせちゃ悪いし」 「先に行く訳ないだろう? 終わるまで待つよ」 桜志くんはそう言うと近くにあったパイプ椅子を持ってきてそれに座った。 「桜志くん、ごめんね。本当にあとちょっとだから」 それだけ言って内容を確認しながら赤ペンを入れ終わったのは十八時四十五分それから十五分後だった。 赤ペン入りの社内報を封筒に入れてまだ作業をしている課長のところに持っていき提出すると、椅子で座りながら寝ている桜志くんに声をかける。 「……っ終わった?」 「うん。待たせちゃってごめんね」 「全然。行こうか」 まだ残っている社員の人に挨拶をしてオフィスを後にする。 会社を出て手を繋いで駅の方に向かうと、駅前だからか会社員の人たちや学生さんで賑わっていて人が行き交っていた。それを見ながら通り過ぎ、少し路地裏に入ってすぐの場所に一軒のお家があり小さく【ティエドゥール】と書かれている看板がある。この言葉の意味はフランス語でぬくもりと言う意味だ。意味通り落ち着いた隠れ家のようなお店だ。 扉を開けると、綺麗な女性が出迎えてくれる。 「いらっしゃい、桜志くんに聖菜ちゃん。瑞希ちゃんたち来てるわよ」 出迎えてくれたのはこのお店のオーナー兼店長で料理人で 「はい。私が残業してしまったので遅れちゃって」 「そうなのね〜、二階の半個室にいるからゆっくりしていってね」 「ありがとうございます」 店の奥にいくと階段がありその階段を登って半個室部屋に向かった。いつもの紫のグラデーションのストリングスカーテンを開けると「あ、やっと来た!」と瑞希が私たちを指差した。 「聖菜も桜志も遅いよ〜待ちくたびれたんだけど」 「ごめんね、私が遅くなっちゃったの……桜志くんは付き
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2、私の家族と恋人の正体
休日の土曜日、私は実家に帰る支度をしていた。 鏡の前で髪を整えながら、胸の奥に重い石が沈むような感覚がする。 実家には父が一人で住んでいる。母は私が中学生の頃、交通事故で亡くなった。あの日、母の笑顔が永遠に消えた瞬間を、今でも夢に見る。 病院の無機質な匂いに父の泣き叫ぶ声、母の冷え切った指先――あの記憶は、私の心に深い傷を刻み込んでいる。 それ以来、父と二人で暮らしていたが、大学入学を機に家を出てからは別々に生活している。それでも、二週間に一度は帰省する。 父の様子を確認するため、そして――あの役割を果たすため。自分でも吐き気がするほど嫌悪するのに、足は自然と実家に向かう。 父を放っておけないという愛情?いや、それだけじゃない。父の悲しみを埋めるための歪んだ贖罪意識が、私を鎖のように縛っている。母に似ている私が、代わりになれるとでも思っているのだろうか。馬鹿げている。なのに、逃げられない。 実家まではアパートから電車で十分、それから徒歩十五分。約三十分の道のりだ。電車に揺られながら、窓に映る自分の顔を見つめる。 緊張した目で自分に見つめた。桜志くんに会う時の笑顔とは別人だ。彼の前では、聖菜でいられる。純粋に普通の恋する女の子でいられる。でも、実家に近づくにつれ、菜奈の仮面が顔を覗かせる。心臓が早鐘のように鳴る。 父の顔を思い浮かべると、愛情と恐怖、憎しみと同情が混じり合う。 母の死後、父は壊れてしまった。最初はただの悲しみだった。酒に逃げ、泣き叫び、私を抱きしめて「菜奈、菜奈」と繰り返した。 でも、ある日を境に、それは変わった。私を本物の菜奈として扱うようになった。あの瞬間から、私は二つの顔を持つ怪物になった。 聖菜と菜奈。 どちらも本物なのに、どちらも偽物。自分自身が信じられなくなる。  *** 駅に到着し、駅直結のスーパーへ向かう。カートを押し、店内を回る。 二週間分の作り置きと今晩のご飯用。今日は父が好きなオムライスを。卵を手に取り、ケチャップをカゴへ。献立を頭で組み立てる。【和食:ごぼうとひじきの炒め煮、青菜の出汁浸し、鮭と長ネギの南蛮漬け、肉じゃが、筑前煮。】【中華:鶏肉ともやしの棒棒鶏サラダ、セロリと大根の中華漬け、手作り餃子】【洋食:ラタトゥイユ、ロールキャベツ、ハンバーグ。】 この
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3、別れの準備
別れる決意をしたはいいが、そのまま伝えて終わりには出来ない。別れるための準備をしなくてはいけない。 まず別れた後、私は村岡貿易を辞めようと思っている。村岡貿易には恩があって大学の学費を支援する制度である企業奨学金制度をやっていたのを利用して大学に通えた。その制度は五年働けば奨学金を返さないでいいという条件があったのでこれまで働いていたが、私は六年目だ。だから今、辞めても大丈夫だ。 「辞めるつもりはなかったんだけど……仕方ない」 就活をして、住む場所も探さないといけないなぁと考える。いっそのこと田舎にでもいいかもしれない……誰も知らない場所で一から始めていくのもいいのではないかと思う。 それにお父さんには病院で診てもらおうと思っている。今更かもしれないけど、ここを離れることを考えている今行くべきだと思うし、このままの関係を続けるのはお互いのためにならない。何より……お母さんが可哀想だ 「一度、|菜美《なみ》姉さんにも相談すべきかもしれない。あの日以来だな……」 菜美姉とは、お母さんの妹で私にとっては叔母さんだ。母が亡くなってからたまに支援してくれていたし、私が父の前で母を演じていることも知っている……というか知られてしまった。 私が大学生になって初めての長期休みの時、実家に帰ってきていたいつもと同じで私は母の代わりをして父に抱かれていた。 抱かれた翌日、九時ごろにたまたま様子を見に来たと言う菜美姉がやってきた。インターホンで起きた私は、モニターも見ないで適当に服を着て急いで玄関を開けてしまって全てバレてしまった。 『聖菜ちゃん、いつから……』 『高校三年生、の時です。母に似ていると、言われて……それから、ずっと』 菜美姉は、気づかなくてごめんねと何度も何度も謝ってこんなことは間違ってると言って病院に行こうと言ってくれた。だけど当時の私は父が笑ってくれるなら何でもしたい、どれだけ自分を犠牲にしたっていいと思っていた。 『菜美姉の気持ちは嬉しい。でも、お父さんが笑ってくれるの。ずっと無表情で泣いてばかりだったのに、私をお母さんだと思っている間は笑って幸せそうだから』 『でもね、こんなの間違っているわ。あなたは菜奈じゃない。あなたは渉さんの妻じゃない。娘よ。こんなの菜奈は望んでないわ。今はいいかもしれない、だけどいつか後悔する日
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4、相応しくないので別れましょう
就活はうまくいったが住処は中々見つからないままひと月経とうとしていた。菜美姉は、しばらくうちにいればいいと言ってくれたがそんなに甘えるのは申し訳ない。それにきっと雫さんはよく思わないだろう。 「そろそろ別れを告げなきゃなぁ」 はぁ、とため息を吐いているとスマホの画面が表示され通知が表示された。それは菜美姉からだった。 【知り合いにも聞いて病院と就職先に近い物件探してみたから見てみて〜】 そんなメッセージとともに幾つかの物件のURLが送られてきていた。なので【ありがとうございます!見てみます】と送り、URLをタップするが……大変そうなものばかりだ。 一つ目の物件は、家賃はまぁまぁ安いけど駅から遠い。遠すぎるしバスもない。徒歩三十分って無理でしょ…… 二つ目の物件は激安だけど、大きな道が目の前で車通りが多く少しうるさいらしい……なんか微妙? 三つ目はとても古くて心理的瑕疵と書かれている。ということは、事故物件のような感じなのかな。 「これはどう返事をしたらいいんだ……!?」 とりあえずは内見に行ってみるのがいいのではないかと思い、菜美姉に連絡すると一緒に内見行こうかと言ってもらえたので来週の土曜日に内見に一緒に回ってもらえることになった。だが、どれも印象通りのものでこれだ!というものはなかった。それなのに時間は止まってくれなくてそれを見兼ねたハルくんと雫さんが決まるまでうちにいるといいよと言ってくれてしばらくはお世話になることになった。 少しずつ引越しの準備をしながら、私は課長に辞表届を提出をした。驚いていたけど、この件は内密にと言えば何か勘違いしたのか了承してくれて退職日は今月末になったが今は中旬。有給をほとんど使わなかったので来週から二週間使い仕事の最終日は今週の金曜日になった。それにその日は、ちょうどよく奇跡的に桜志くんも理人くんも瑞希も出張でいないのだ。 周りに辞めることを悟られないように少しずつ荷物を運び出していき、あとはテーブルだけとなった。 私が担っていた業務マニュアルもまとめたし、仕事の引き継ぎは完璧だ。 「……あとは本当に別れるだけだな」 それが一番、大変なことだ。だけどこれは仕方のないことで、自分で決めたこと……あの人は純粋で優しくて誰からみてもいい人で私なんて相応しくないんだから、これでいいんだ
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消えた彼女 桜志side
『――桜志くん、私と別れてください』 『好きじゃない』 さっきまで幸せだった空間は、現在真っ暗闇のどん底だ。本当なら、今頃求婚していたはずだった。聞いてももらえなかった。 追いかけなきゃと思うのに、現実味がなくて頭が追いついていかない。去ってしまった彼女を俺は追いかけることが出来なかった。 ハッとした時には、もう彼女の姿はなくて店から出ていってしまっていて見えない。追いかけなくては……と思い立ち上がったが、先ほど言われた“キライ”の言葉に足が動かず手を拳にして強く握る。 すると、後ろから「……村岡様、あの」と聞こえてきて振り向けばウェイターが後ろで心配そうに問いかけてきた。 「すまない、会計をするよ」 会計をしてすぐに外に出ると、スマホを出して聖菜ちゃんに電話をかける。だが《おかけになった電話は電波の届かない場所――》というアナウンスが流れるだけだった。 「やはり出ないか……なら、直接行くか」 さっきは一方的だったが社員寮まで行ってしっかりと話し合いたい。 車に乗り込んでエンジンを掛けたとき、ジャケットの裏ポケットに入れていたスマホが震えた。もしかして聖菜ちゃんが掛け直してくれたのかもしれないと思ってスマホを取り出すと、それは聖菜ちゃんではなく秘書だった。 『桜志、今どこにいる? 飛行機の時間、覚えてるのか?』 『あ……そうだったな。出張、か』 『そうだけど、忘れていたわけじゃないだろ? どうしたんだ』 『彼女と……いや、なんでもない。すぐに向かう』 秘書には求婚することは話していないし、知らない。それに明日からまたシンガポールに出張だから飛行機に乗らなくては…… 『しっかりしてくださいよ、もうすぐ村岡貿易の次期社長だって公表されるんですから』 『そうだよな、ありがとう。じゃあ急いで向かうよ』 電話を切ると俺は車を出発させて空港へと向かった。帰ってきたら、すぐに聖菜ちゃんに直接会いに行こうと思い俺は飛び立った。 それから二週間の出張が終わり、日本に帰国した俺はその足で彼女がいる社員寮に向かった。 「……え? いない?」 「はい。確か会社も辞めたはずですが、ご存知ないのですか?」 寮母に聖菜ちゃんと面会したいと伝えたら帰ってきたのはそんな答えだった。 会社を辞めたって、どういうことだ?そんなはず
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5、今の生活
「いらっしゃいませ」 ここは、愛知県内に展開している【|翠香《すいこう》園】グループが経営している抹茶を使用したカフェの一つだ。私はこちらに来てすぐ、翠香園グループに就職した。貿易会社にいたから英語が使えることで国際営業部に採用されて一年働き、その後現場に配属になり三年店員となり現在は外国の方をターゲットにしたカフェで店長をしている。 今まで飲食店で働いたことがなかった私は毎日が新鮮で楽しかった。でも、彼のことは今でも忘れられなくて引きずってしまっている。だけど、もう違う世界の人だ。 「店長、もう上がってください。あとは俺がやっておくんで」 「ありがとう、安藤くん。じゃあ、よろしくね」 安藤くんは、私と同じ社員さんで四年目だ。年齢は三つ下だけど、とても頼りになるし副店長でもある。 「そういえば、明日本部長が来るらしいですよ。なんだか最近多いですよねー」 「そうなの?」 「はい。きっと木ノ下さん目当てですね〜」 「そんなわけないでしょ。それに一度仕事を案内してあげただけなのに」 そう言うと「そうかなぁ」と安藤くんは不満そうに呟いておしぼりの準備を始めた。その様子を見ながら私はお疲れ様と言ってバックヤードへと向かい休憩室に向かった。休憩室にあるテレビをつけると、さっきまで思い浮かべた人が写っていた。 《村岡貿易社長交代へ 新社長は村岡桜志氏》 テレビに映っていたのは私が四年前に一方的に別れた彼だ。あの時は彼が村岡貿易の社長令息だったなんて思わなかったし、そんな話は聞いたことなかった。もし、あの時別れなくても結果別れる運命だったのかもしれないんだから……今思えばよかったのかもしれない。 そんなことを思いながら更衣室で着替えて帰る準備をしていると裏口からインターホンが鳴ってモニターを覗く。 『こんにちわー』 そこにはさっき話題に上がった人、この翠香園グループの本部長が立っていて鍵を開けた。 「あ、こんにちわ。木ノ下さん」 「はい、こんにちわ。本部長……どうぞ中に」 「ありがとうございます」 礼儀正しくお辞儀をした彼は翠香|碧巴《あおば》さんといって、苗字の通り翠香園グループの御曹司だ。御曹司といっても現社長の子供は五人いて一番末っ子だから自由らしい、本人曰く。それに本部長をしている。仕事内容はよく知らないが、ちゃんと
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6、特別手当で釣られました。
「……あの、本部長。どうしてこんな毎日いらっしゃるんですか?」 「ん? 君に会いたいからかな?」 そう言う本部長はわんこみたいな人懐っこい笑顔を見せながらこちらを見ている。なぜこのような状況になっているかというと……それは数日前に遡る。 『――パートナーになって欲しい』 本部長に言われた日、私は一度お断りした。だけど、それから毎日懇願され続けて上司からのお願いだからと、……いや、捨てられた子犬のようなウルウルした目で見つめられたら了承するしかなかった。 まだ、パーティーまでは日にちがあるけれど私の気持ちが変わらないようにとほぼ毎日会いに来ている。 「今日はどのような用事ですか? パーティーには一緒に出ます。逃げませんが」 「うん。それは分かってる。俺が来たいだけだ。それに、一緒に過ごして仲良くならないと恋人には見えないでしょう?」 「こ、恋人?」 「あれ、言わなかったっけ? パーティーはパートナーすなわち恋人や家族同伴のもと参加してねって条件があるんだ。俺はその主役で適齢期、パートナーがいないと周りがうるさくて……って、話してなかったかな?」 いやいやいやいや!聞いてませんけど!? 「……聞いてませんけど」 「ごめんなさい、言うの緊張して大事な部分言ってなかったみたいだ。俺は、結婚はせず仕事を頑張りたい。だから、俺の都合で申し訳ないんだけど仮初の恋人として一日いて欲しい。パーティーが終わったら、手当もたっぷり出すから」 「仮初の恋人……ていうか! 手当ってどういうことですか?」 「特別手当だよ、それと俺にできることならなんでもするよ。どう?」 どう?じゃないでしょう…… 簡単に言ったな、この人。 「一日だったとしても恋人は……一社員ですし、それに翠香社長はよく思わないのでは?」 「いえ。実は、これは父には言ってあるんです。それに父は木ノ下さんのことをとても評価していますよ。今はカフェで頑張ってもらってますが、英語や中国語、韓国語にフランス語を話せるのは貴重だしビジネス英語が話せることもあって秘書にしたいと言ってましたよ」 「それは、前の仕事で必要だったんです。だからそんな凄くはないのですが……秘書なんて荷が重いです」 「ゆるーくそばにいてくれれば、って言う意味だと思うよ。それに、会社自体は大きくないからね。畏ま
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